
こんにちは。メンバーズ サースプラスカンパニーの菊川です。
Salesforceは、営業・顧客管理の基盤として広く利用されていますが、そのデータを活用したバックオフィス業務の効率化には、課題を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そのような課題をお持ちの方にぜひご紹介したいのが、Salesforceと連携し、バックオフィス業務、特に債権管理の効率化を図る株式会社マネーフォワードの「マネーフォワード クラウド債権管理 for Salesforce」です。
本日は、「マネーフォワード クラウド債権管理 for Salesforce」の開発経緯と、Salesforceとの連携によって企業の債権管理業務がどのように効率化されるのかについて、
株式会社マネーフォワード ERPプロダクトマネジメント本部 プロダクトマネージャーの高武 俊平 氏に話を伺いました。
「マネーフォワード クラウド債権管理 for Salesforce」とは
「マネーフォワード クラウド債権管理」は入金消込・債権残高管理から滞留督促管理までを広くカバーする、特定業務特化型のクラウドサービスです。
こちらの「マネーフォワード クラウド債権管理」とSalesforceをシームレスに連携し、請求から入金消込までの業務を一気通貫で実現できるのが「マネーフォワード クラウド債権管理 for Salesforce」です。
1. 成長企業と伴走する、マネーフォワードのERP戦略
– 所属されているERPプロダクト本部および、高武氏の役割やミッションについてお聞かせください。
高武氏:
私の担当は、中堅以上の企業様向けの経理財務領域、その中でも特に債権管理分野のプロダクトマネージャーとして、「マネーフォワード クラウド債権管理 for Salesforce」のプロダクト責任者を務めております。
企業の規模が大きくなると、ひとつひとつの業務が複雑化し、中小企業では手作業で十分だった細かな業務についてもシステム化が必要になります。
当本部では、そういった成長し続ける企業様をサポートできるよう、「マネーフォワード クラウドERP」としてプロダクトラインナップを拡充し、機能強化をしていくことがミッションです。
具体的には、従業員規模50名以上の企業様を念頭に、バックオフィス業務全般をカバーできるようなプロダクトの企画・開発を推進しています。
2. 経理と営業の連携を阻む、債権の「アナログ管理」
-「マネーフォワード クラウド債権管理」の開発にあたり、債権管理領域ではどのような課題が顕在化していると考えていますか。

高武氏:
日本の商習慣は非常に多様であり、請求や入金の形式も多岐にわたります。
債権管理、特に請求と入金を突合する消込業務は、多くの企業様にとって煩雑で、手作業が多い領域だと感じています。
例えば、複数の請求に対する一括入金や、社名と振込名義の不一致など、目視やExcelでの確認を行っている企業様も多いのが現状です。こうした状況が、経理担当者の大きな負担となり、債権管理が依然として大きな課題となっている要因の一つと考えています。
– こうした状況は、経理部門の業務効率だけでなく、営業部門との連携にも影響を与えるのでしょうか。
高武氏:
そうですね。一般的に、経理部門は営業部門に比べて人数が少ないため、未入金や不明な入金により確認が必要な際には、経理担当者が複数の営業担当者に個別に連絡を取らざるを得ない状況があります。
経理部門は決算までに消込を完了させ、正確に債権残高を把握できる状態にしておかなければいけないという大きなプレッシャーを抱える一方、営業部門にとっては未入金等の確認は本来の営業活動というコア業務を削って対応しなければいけない業務であるため、両部門間でお互いにストレスを感じているのが、現在の債権管理における課題だと考えています。
3. 消込業務の変革をもたらす「クラウド債権管理」立ち上げの背景
-「マネーフォワード クラウド債権管理」はどのような位置づけのプロダクトなのでしょうか。
高武氏:
「マネーフォワード クラウド債権管理」は、入金消込業務に特化したプロダクトです。機械学習により使えば使うほど、入金消込時の照合ロジックを学習し、自動照合率が高まり消込作業が効率化できるというのが大きな特徴です。
ユーザーが既に導入している、販売管理システムや会計システムと連携することで、煩雑な入金消込作業を自動化し、経理担当者の負担を軽減することができます。
また、当社の製品群の「マネーフォワード クラウド請求書Plus」と連携することで請求データの連携から消込まで一気通貫で行え、さらに「マネーフォワード クラウド会計Plus」と連携することで消込結果に基づいた仕訳を自動生成し、連携することが可能です。このように、債権管理業務をスムーズにするプロダクトです。
-「マネーフォワード クラウド債権管理」は、どのような流れで開発・リリースに至ったのでしょうか。プロダクトの立ち上げの経緯や、思いを教えてください。
高武氏:
冒頭にお話した部分と重なりますが、中堅以上のユーザーに向けてERPとしてのプロダクトラインナップを拡充し、バックオフィス業務全般をカバーしていくことが我々のミッションです。
商談等で実際にお客様と対峙する中で、事業規模の拡大に伴い、請求件数や入金件数が増加し、入金消込において1件1件を目視で突合するといった作業が非常に大変だと言う声を多くいただきました。
こうしたお客様の声を受け、債権管理において、より課題解決に繋がるプロダクトラインナップを拡充したいと考え、「マネーフォワード クラウド債権管理」の企画が立ち上がりました。
4. 営業とバックオフィスを「一気通貫」連携。Salesforce連携で生まれる価値とは
– Salesforceとの連携に至った経緯や思いを教えてください。

高武氏:
当社では、「コンポーネント型ERP」という戦略を掲げており、お客様に必要な機能を必要なだけ組み合わせてご利用いただけるプロダクト構成になっています。
中堅以上のユーザーで、既に他社のプロダクトをご利用されていたり、ユーザーごとに求めるシステム構成が異なるため、 全てリプレイスいただくにはハードルが高いですが、我々のプロダクトは「マネーフォワード クラウド」間はもちろん、他社のプロダクトとも組み合わせてもご利用いただけます。
成長し続けるユーザーにおいて、Salesforceは営業案件管理のデファクトスタンダードになっていると思います。しかし、Salesforceはあくまで営業案件管理が中心であり、受注後の請求や消込といったバックオフィス業務とは繋がっていない、というのが多くのユーザーの現状ではないでしょうか。 例えば、入金消込業務においては、Salesforceから手動で請求関連のデータをエクスポート・加工し、別途ネットバンキングから取得してきた入金明細データと突合するといった煩雑な作業が発生しています。
また、先ほどご質問をいただいた経理部門と営業部門の連携面においても課題は大きいです。消込作業に加えて、債権管理帳票を別途作成・更新し、滞留発生時の営業担当者への個別で確認依頼など、情報共有にも多くの工数が割かれています。
そうした背景から、Salesforceと当社の「マネーフォワード クラウド債権管理」を連携させました。Salesforceから請求データを連携し、自動照合機能で入金消込を効率化、その結果をSalesforceに反映することで営業部門とタイムリーに債権回収状況を共有できます。
これによりユーザーの営業案件管理から請求、そして入金消込といったプロセスを一気通貫で繋ぎ、バックオフィス全体の効率化に貢献できると考えています。
– 既にAppExchangeで提供されている製品との連携についても、意識された点はありますか。
高武氏:
先ほどお伝えしたように、債権領域向けのSalesforce連携製品として、先行して「マネーフォワード クラウド請求書Plus for Salesforce」を提供しております。
Salesforceを利用しているユーザーの中には、商談データしかお持ちでないことがあり、請求書発行や会計システムへの売上計上は、Excelや手作業で実施されているケースも少なくありません。
「マネーフォワード クラウド請求書Plus for Salesforce」をご利用いただくことで、溜まっている商談データを用いて請求書発行が可能になります。さらに、会計システム向けの売上計上仕訳も、自動作成・出力できるというメリットがあります。
この「マネーフォワード クラウド請求書Plus for Salesforce」と「マネーフォワード クラウド債権管理 for Salesforce」を合わせてご利用いただくことで、請求書発行から入金消込・会計仕訳まで、債権管理の一連の業務をシステム内で一気通貫で完結できることも大きなメリットです。
5.Salesforceの多様な構成に応える「シンプル」な設計思想
– Salesforceとの連携にあたり、意識された設計思想について教えてください。
高武氏:
実際に多くのお客様のSalesforce環境についてお聞かせ頂く中で、業種や業態、企業ポリシーによって構成が多岐にわたることを認識しました。そのため、「マネーフォワード クラウド債権管理 for Salesforce」の開発においては、できる限り多くの企業に利用いただけるよう、汎用性の高い作りを意識しました。
連携仕様をシンプルにし、柔軟にご活用いただける様な設計になっているのが、今回の「クラウド債権管理 for Salesforce」の大きな特長です。
– 自社の仕様が特殊で、連携が難しいと考えるお客様こそ、使っていただきたいということでしょうか。
高武氏:
そうですね。Salesforceというプラットフォーム自体の柔軟性も、連携を容易にする要素の一つです。Salesforce製品ならではの強みだと考えています。
– 開発を経て、お客様からの反応はいかがでしょうか。
高武氏:
企画段階からお客様へのユーザーインタビューを重ねてきましたが、プロダクト化を経てお客様にご提案する中で、企画当初に想定していた課題感に共感いただくことが多く、大きな手応えを感じています。
今回の「マネーフォワード クラウド債権管理 for Salesforce」の企画では、数十社のユーザーにご協力いただき、共通する課題や潜在的なニーズを見つけ出し、その都度、課題仮説を磨き上げながら企画を具体化していくことができました。
導入はあくまでスタートだと思いますので、しっかりとご活用いただき、経理部門・営業部門の業務が実際に効率化できるように、しっかりと伴走していきたいと考えています。
6. システム導入で「あるべき姿」を実現するために
– プロダクトマネージャーとして、「マネーフォワード クラウド債権管理 for Salesforce」の導入や利活用においての重要な点は何だと思いますか。

高武氏:
お客様にとって重要なのは、ツールの導入が目的ではなく、現状の課題を明確にし、どのような状態を目指したいのか、As-Is・To-Beを描き、そのギャップを埋めるために最適な手段を見極めることだと思います。
導入にあたっては、現状の業務フローを棚卸しし、検討要件に漏れがないか確認することが重要です。
– 導入を進める上で、どのような部門の方々と連携してプロジェクトを始めることが重要でしょうか。
高武氏:
業務プロセスを変革することは、企業にとって大きな取り組みです。そのため、現場部門だけでなく、意思決定を行うマネジメント層を含めてプロジェクトに巻き込むことが不可欠です。
例えば、検討の中心が経理部門であっても、今回の債権管理においては営業部門など、実際に業務で直接関わる部門の方にプロジェクトの意思決定に関わっていただくことが必要です。導入にあたっては、初期設定や検討段階で苦労されることもあるかと思いますが、「何のために導入するのか」という目的を関係者全員で再確認し、共通認識を持つことが非常に重要だと思います。
– そうしたプロジェクトマネジメントも含め、Salesforceとの連携でお客様の知見が不足している状況に対して、何かアドバイスはございますか。
高武氏:
Salesforceに精通した第三者のパートナー様と連携し、共にプロジェクトを進めていただくことを強くお勧めします。社内の視点だけでなく、第三者の客観的な視点を取り入れ、業界のベストプラクティスと自社の運用を照らし合わせ、ギャップを埋めていくことが重要です。
専門的な知識を持つプロフェッショナルな方々と協力しながら進めることが、プロジェクト成功への近道だと考えています。
– 最後に、リリース後の展開や戦略についてお聞かせください。

高武氏:
今回のプロジェクトである「マネーフォワード クラウド債権管理 for Salesforce」では、経理と営業の連携というテーマに対し、多様なユースケースに対応できるよう、更なる機能を拡充したいと思っています。
また、マネーフォワード全体としては、Salesforceとの連携によって効率化できるバックオフィス領域がまだ多く存在すると考えています。
今後は点ではなく線で、Salesforceと「マネーフォワード クラウド」をご利用いただくことで、営業部門からバックオフィス部門まで、一気通貫でのDXや業務効率化を実現できるよう、プロダクトラインナップを拡充していく方針です。
– 今回の「マネーフォワード クラウド債権管理 for Salesforce」のリリースは、そのための重要な一歩なのですね。それでは最後に、貴社のサービスに関心をお持ちの方、今後検討される可能性のある方へ向けて、メッセージをお願いします。
高武氏:
Salesforceをご利用中で、本来Salesforceの持つ価値や機能を十分に活用できていないと感じているお客様は多くいらっしゃると考えています。Salesforceは営業案件管理だけでなく、企業の基幹業務システムとして活用できるプラットフォームだと思います。
バックオフィス業務の中で課題を感じている部分や、効率化の余地がありそうだと感じられた際は、ぜひお気軽にご相談ください。
本記事では、「マネーフォワード クラウド債権管理 for Salesforce」の開発背景や、債権管理の課題についてご紹介しました。
Salesforceをより効果的に活用し、バックオフィス業務の効率化を実現するためには、ツールの導入だけでなく、業務全体の課題を明確にし、関係者間で導入の目的を共有することが重要です。
株式会社メンバーズ サースプラスカンパニーでは、Salesforceを中心としたSalesforce・SaaS活用の内製化・伴走支援サービスを提供しています。
SaaS活用を通じて企業のDX推進を進めたいと考えている方は、ぜひ一度お問合せください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
株式会社マネーフォワードについて
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